伝統的なものづくりを現代に生かす――家具メーカーがEC売上低迷を打破したコンパスシェア活用事例

広島の郊外にある老舗木工家具メーカーC社。代々受け継がれてきた無垢材のテーブルやチェアは地元で高い評価を得る一方で、オンライン販売の伸び悩みが課題となっておりました。職人の手仕事を誇りに、品質とデザインに自信を持つあまり、「どう伝えれば新たな顧客に響くのか」が社内だけでは見えにくくなっていたのです。

そんなとき出会ったのが、1時間単位で各業界のトップコンサルタントと対話できるスポットコンサル「コンパスシェア」。代表のK氏が外部専門家への相談を通じて明らかにした、新たな一手とは何だったのか。現場のリアルな課題と、そこから導かれた解決プロセス、実際に得られた成果を紐解きます。

目次

EC売上や経営の悩みを相談する場としてコンパスシェアを活用

御社の事業内容と事業が直面する現状について教えてください。

弊社は、伝統的な技術と現代のデザイン感覚を融合した木製家具の製造販売を行っています。創業以来、職人の手作業による丁寧な仕上げを強みとし、固定ファンも多く獲得してきました。

しかし、従業員数10~20名程度の小規模組織ゆえに、私自身が商品開発から技術面の要までを兼務しており、マーケティングや販路開拓に十分な時間を割けずにいます。具体的には、商品棚の紹介文章や企業ホームページ、SNSでの情報発信は続けているものの、ECサイトでの売上がなかなか伸びず、ネット市場におけるプレゼンス向上のための戦略が確立できない状態です。

また、新規販路開拓に必要な専門知識を社内で補完する体制も整っていない状況でした。

そのような状況の中で、なぜ今回の1時間スポットコンサルを選ばれたのでしょうか?

従来は自己流でECサイトの文言や写真を更新し、SNSで情報発信を試みてきましたが、効果を数値で実感できず「今後どう売上を伸ばすべきか」という漠然とした不安を抱えていました。

そんな折、経営戦略から販促手法まで、各業界トップクラスのコンサルタントに1時間単位で気軽に相談できる「コンパスシェア」の存在を知り、是非試してみたいと思いました。高額な顧問契約ではなく、現場目線の実践的アドバイスを必要な分だけ受けられるしくみが、中小企業の当社に最適だと感じたからです。

相談内容を掲載したのち多数のコンサルタントからエントリーをいただきましたが、その中でも大手外資系ファームにて戦略コンサルタントとしてご活躍され、またWebマーケティングの運用経験豊富であったU氏に相談を依頼することにいたしました。

顧客視点の不十分さへの気づきとブランド再構築の取り組み

実際のWEB相談は、どのような流れで進められたのですか?

ミーティングの場では、まず弊社の伝統的な製品作りの現状と、ECサイトなどオンラインにおける情報発信の悩みについて、率直にお話いたしました。

それに対して、弊社の「伝統技術」への強いこだわりによって、時に柔軟なマーケティングや市場改革を妨げられてしまう点が浮き彫りになりました。ヒアリングは、まず製品自体の魅力、そしてその魅力をどのように伝えていくかというブランド戦略へと話が進み、内部にある自己満足的な市場のニーズにそぐわない慣習や、外部からのフィードバック不足にも焦点を当てる形で進行しました。

具体的には、どのような課題が浮き彫りになったのでしょうか?

U氏との会話の中で、以下二つの本質的な課題が鮮明になりました。

第一に、「伝統ある木製家具の品質や職人技」にこだわるあまり、市場の変化や顧客が本当に求める価値への理解が浅く、ECサイト上で提案するメッセージが製品スペックの説明に終始している点です。つまり、職人目線で「良い家具をつくる」プロセスに注力するあまり、顧客視点で何を提供すべきかの検討が後回しになり、ECサイトでの訴求が製品スペック中心に偏重していることが底流の問題でした。

第二に、社長である私自身が技術開発と品質管理にリソースが多く割かれてしまい、企業全体を俯瞰する視点が不足していた点も大きな課題でした。結果として、マーケティングや組織マネジメントに投じる時間が確保できず、売上改善に向けた優先順位付けが曖昧になり、施策が場当たり的になっていたのです​​。

その課題に対し、担当コンサルタントからはどのようなアドバイスが提示されたのですか?

U氏から、弊社の核となる「伝統技術」や「職人の技」を生かしつつも、顧客のニーズと事業の強みの兼ね合いから、ブランドそのもののコンセプトを再定義するようアドバイスがありました。具体的にはアクションプランは、次の通りです。

まずは既存の優良顧客に対してインタビューを実施し、彼らが当社製品に感じている本質的な魅力や利用シーンを抽出。その情報を基に、ECサイトの商品ページやパンフレットの訴求軸を再設計することを指摘されました。また、SNSや企業HPの情報発信に関しては、定期的かつ更新スケジュールを確立するため、専門のマーケティング担当者や外部パートナーの活用を前提にオペレーションを構築していくのがよいとのことでした。

さらに、私自身が製品作りに専念しすぎるあまり企業全体を俯瞰した視野を持てていない現状を打破するため、経営チーム内での役割分担の見直しや、外部のマーケティング専門家との定期的なディスカッションの場を設けるよう提案されました。

これらのアドバイスに基づき「まずは優良顧客の声に基づき、自社の製品の伝え方を再定義するべきだ」という一手に落ち着きました。特に、私自身が現場から離れて経営戦略や市場動向を見直すことが不可欠であり、今後は内部チームの強化と外部との連携を同時に進める必要があると強調されました。

今回の相談の結果として、どのような成果が得られたのでしょうか?

今回のスポットコンサルを通じ、現在ブランディングの根本的な再構築に取り組んでいます。

特に、優良顧客へのインタビューを通じて、「伝統的なモノづくりがモダンなライフスタイルと調和する体験」に自社製品の提供価値があることが見えました。そうした体験価値をブランドコンセプトの軸に据え、「職人の制作過程」や「製品にかける情熱」のビジュアルドキュメントを各商品のページにコンテンツ化して織り込むことで、伝統と現代性の融合を視覚的に訴求できるようECサイトを刷新しました。

また社内リソースが限られている中、マーケティング専任の担当者の任命し、外部のコンテンツクリエーターやデジタルマーケティング会社との提携を開始いたしました。現在、SNSや企業HPの定期更新およびキャンペーンについて、提携先と連携しつつ試験的に情報発信の運用を進めています。

直近ではECサイトからの問い合わせ件数やオンライン受注が増加し、「製品の背景や物語に共感できる」というお声が多数寄せられるなど、ブランド認知度の向上を実感しています。

今回のスポットコンサルの効果について、どのようにお考えですか?

今回の「コンパスシェア」を通じたコンサルティングは、弊社にとって単なる戦術的改善に留まらず、経営全体の考え方の転換を促す非常に価値ある体験となりました。私自身、製品作りに専念するあまり、経営視点が欠落していた現状に改めて気づかされ、外部の意見がもたらす視座の重要性を実感しました。

本日は、C社代表のK様に、革新的な医療支援機器の実用化と、1時間のスポットコンサルによる具体的な成果についてお話を伺いました。K様、誠にありがとうございました。
今後のさらなるご発展を心より期待しております。

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