コンサルタントが日本の離島に介在する意義とは?~佐渡における民間企業とコンサルタントの協業事例に学ぶ~

近年コンサルティングファームでの副業解禁の動きに伴い、副業を通じて日本の地方課題解決に貢献するコンサルタントも増えています。

こうしたコンサルタントの新しい働き方へのニーズにこたえるべく、コンパスシェアでは日本の離島にスコープをあて、離島地域の持続的な発展とそこにおけるコンサルタントの役割を探るセミナー&パネルディスカッションイベントを開催しました。

本記事ではそのイベントのうちパネルディスカッションの内容に焦点をあて、新潟県・佐渡島で古民家再生などの地域活性化プロジェクトに取り組む、コンサルタントと民間企業の3者間のディスカッションを一部ご紹介します。

近年コンサルティングファームでの副業解禁の動きに伴い、副業を通じて日本の地方課題解決に貢献するコンサルタントも増えています。

こうしたコンサルタントの新しい働き方へのニーズにこたえるべく、コンパスシェアでは日本の離島にスコープをあて、離島地域の持続的な発展とそこにおけるコンサルタントの役割を探るセミナー&パネルディスカッションイベントを開催しました。

本記事ではそのイベントのうちパネルディスカッションの内容に焦点をあて、新潟県・佐渡島で古民家再生などの地域活性化プロジェクトに取り組む、コンサルタントと民間企業の3者間のディスカッションを一部ご紹介します。

■登壇者プロフィール

桑江英将 氏(Oi&Tas株式会社 代表取締役社長兼コンサルタント)

川上巧 氏(有限会社川上工務店 代表取締役)

ローランド・トンプソン 氏(MinkaLife株式会社 CEO)

マギル大学で経済学のMBA、サウス・クイーンズランド大学でサステナビリティの修士号を取得し、オックスフォード大学でインパクト投資を学ぶ。30年以上日本に在住。不動産、再生可能エネルギー、インフラ投資の分野でキャリアを積み、日本では投資銀行クレディ・スイス、エネルギー開発大手グリーンパワー・インベストメンツ/パターン・エナジーで役員を歴任。最近では、佐渡島など日本の自然・文化資産の活用を中心とした地域開発ベンチャーに携わっている。

■登壇者プロフィール

桑江英将 氏(Oi&Tas株式会社 代表取締役社長兼コンサルタント)

独・ミュンヘン工科大学および東京大学で建築を修了後、現場監督やプロデューサー等様々な職を経験。その中でプロジェクトマネジメントの面白さにハマり、インド外資のOYOや国内大手のリクルート等で事業立上げの統括を任される。並行して自身の会社を起業し経営。現在もパラレルワークでアジアや国内の地方中心にtoB向けの様々な新規事業のコンサルティングを行う。

川上巧 氏(有限会社川上工務店 代表取締役)

新潟県の佐渡市(旧・両津市)に生まれ、1981年に上京した後、都内の設計事務所に務める。1995年より地元の佐渡島にUターンし、家業の工務店を引き継ぐ。2005年より古民家再生(リノベーション)事業を本格的に始め、地元を中心に多くの現場に携わる。

ローランド・トンプソン 氏(MinkaLife株式会社 CEO)

マギル大学で経済学のMBA、サウス・クイーンズランド大学でサステナビリティの修士号を取得し、オックスフォード大学でインパクト投資を学ぶ。30年以上日本に在住。不動産、再生可能エネルギー、インフラ投資の分野でキャリアを積み、日本では投資銀行クレディ・スイス、エネルギー開発大手グリーンパワー・インベストメンツ/パターン・エナジーで役員を歴任。最近では、佐渡島など日本の自然・文化資産の活用を中心とした地域開発ベンチャーに携わっている。

佐渡島が抱える社会課題について

―――コンサルタントの桑江さんと民間企業の川上さん、ローランドさんが佐渡島にて協業する中での体験談をベースに、離島地域にコンサルタントが介在する意義や困難さについて、お話しいただければと思います。

まずは佐渡島で家業の工務店を営んでいる川上様より、佐渡島が抱える社会・経済的課題についてお話しいただけますでしょうか?

川上氏:

国内の他の離島や地⽅と共通することでもありますが、第一に著しい⼈⼝減少と超⾼齢化、超過疎化が挙げられます。佐渡島では、一時期10万人規模くらいあった人口が令和6年の3月時点で4万6千人規模にまで減少しており、地場産業であった一次産業や、それを加工する製造業も激しく衰退しております。

また交通アクセスの制約により、生活や事業運営に必要な物品の多くは輸入品に依存せざるを得ず、そのため島民は輸入品の価格高騰の影響をダイレクトに受けております。加えて、空き家や耕作放棄地の増加や、自然・文化資源の保全活動の難航もあり、何かやりたい人はいても続けていけない、やめるしかないという状況を抱え続けています。

川上氏:

国内の他の離島や地方と共通することでもありますが、第一に著しい人口減少と超高齢化、超過疎化が挙げられます。佐渡島では、一時期10万人規模くらいあった人口がれいわ6年の3月時点で4万6千人規模にまで減少しており、地場産業であった一次産業や、それを加工する製造業も激しく衰退しております。

また交通アクセスの制約により、生活や事業運営に必要な物品の多くは輸入品に依存せざるを得ず、そのため島民は輸入品の価格高騰の影響をダイレクトに受けております。加えて、空き家や耕作放棄地の増加や、自然・文化資源の保全活動の難航もあり、何かやりたい人はいても続けていけない、やめるしかないという状況を抱え続けています。

コンサルタントが離島地域に介在する価値

―――次に、コンサルタントが離島地域の課題解決に介在する意義としては、どのようなものがあるとお考えでしょうか?

―――次に、コンサルタントが離島地域の課題解決に介在する意義としては、どのようなものがあるとお考えでしょうか?

川上氏:

島においてプロジェクトを進める上で、人を動かし運営面で関与するコンサルタントの存在が必要不可欠となります。

島民や島に関係する民間企業が地域活性のためのプロジェクトを仕掛け、それを動かそうと思った時に、人手不足の課題に直面します。そうした際には、離島に人が少ない中でどうプロジェクトを展開していくか、どう島民を動かしていくかという考えが重要になり、桑江さんのように外部から運営面で手を差し伸べてくれる方がいると非常に助かります。

また、外部の客観的な視点から離島に新たな価値を見出してくれる点においても、コンサルタントの介在意義はあります。例えば、私たちが当たり前のように食べている食材が、外部の視点からすると佐渡島のアピールポイントとして映ることもあるかと思います。そのように、離島の内部では当たり前なことに光を当てて、それをどうアピールするかを粘り強く設計・説明することが、プロジェクト成功のカギとなると考えます。

川上氏:

島においてプロジェクトを進める上で、人を動かし運営面で関与するコンサルタントの存在が必要不可欠となります。

島民や島に関係する民間企業が地域活性のためのプロジェクトを仕掛け、それを動かそうと思った時に、人手不足の課題に直面します。そうした際には、離島に人が少ない中でどうプロジェクトを展開していくか、どう島民を動かしていくかという考えが重要になり、桑江さんのように外部から運営面で手を差し伸べてくれる方がいると非常に助かります。

また、外部の客観的な視点から離島に新たな価値を見出してくれる点においても、コンサルタントの介在意義はあります。例えば、私たちが当たり前のように食べている食材が、外部の視点からすると佐渡島のアピールポイントとして映ることもあるかと思います。そのように、離島の内部では当たり前なことに光を当てて、それをどうアピールするかを粘り強く設計・説明することが、プロジェクト成功のカギとなると考えます。

ローランド氏:

私も当たり前の中にある価値を外部の視点から見出すところに、コンサルタントの存在価値はあると思います。例えば古民家再生プロジェクトにて家の中の物品を整理する際にも、離島で生活している方には価値のないように見えても、外部の目から見たら文化的価値を見出せるような物が多くありました。

加えて、行政や住民とのコミュニケーションの調整役としても、コンサルタントは重要な役割を担います。私自身は佐渡島に新たに参入した外部企業でしたが、桑江さんが私と地域住民との間に立ち、住民との話し方や付き合い方など信頼関係の構築をサポートしてくれたのはとても助かりました。

ローランド氏:

私も当たり前の中にある価値を外部の視点から見出すところに、コンサルタントの存在価値はあると思います。例えば古民家再生プロジェクトにて家の中の物品を整理する際にも、離島で生活している方には価値のないように見えても、外部の目から見たら文化的価値を見出せるような物が多くありました。

加えて、行政や住民とのコミュニケーションの調整役としても、コンサルタントは重要な役割を担います。私自身は佐渡島に新たに参入した外部企業でしたが、桑江さんが私と地域住民との間に立ち、住民との話し方や付き合い方など信頼関係の構築をサポートしてくれたのはとても助かりました。

コンサルタントに求められる「泥臭さ」

―――逆に、コンサルタントが離島地域に介在する上で、特に意識しなくてはならないことはありますでしょうか?

―――逆に、コンサルタントが離島地域に介在する上で、特に意識しなくてはならないことはありますでしょうか?

桑江氏:

言葉としてはあまりスマートではないのですが、「泥臭さ」は必要になってくると思います。いわゆるコンサルティングファームでのお仕事では、クライアントの課題を特定する上でデータを収集・分析し、傾向を洗い出し、それに基づいたソリューション提案をするという流れが一般的かと思います。ただ、時にはそうした客観的な情報だけでなく、自分の足で粘り強く生の声を拾いにいかなくては、適切な判断や提案ができないこともあるでしょう。

とりわけ離島地域への支援となると、生まれ育った環境や文化的背景など、クライアント先が自分とは全く異なるバックグランドを抱えていることが多いです。そうした場合、相手を理解し、相手から信頼を得るためには、泥臭いコミュニケーションが必要不可欠となります。

桑江氏:

言葉としてはあまりスマートではないのですが、「泥臭さ」は必要になってくると思います。いわゆるコンサルティングファームでのお仕事では、クライアントの課題を特定する上でデータを収集・分析し、傾向を洗い出し、それに基づいたソリューション提案をするという流れが一般的かと思います。ただ、時にはそうした客観的な情報だけでなく、自分の足で粘り強く生の声を拾いにいかなくては、適切な判断や提案ができないこともあるでしょう。

とりわけ離島地域への支援となると、生まれ育った環境や文化的背景など、クライアント先が自分とは全く異なるバックグランドを抱えていることが多いです。そうした場合、相手を理解し、相手から信頼を得るためには、泥臭いコミュニケーションが必要不可欠となります。

川上氏:

桑江さんの言うように、「泥臭さ」はとても重要です。

まず島民にとって、コンサルタントはどうしても怪しく見える存在から始まります。そうした中では、データ分析に基づき課題を特定し立派な提案を用意するだけではなく、それを島の人々が心から納得できるようコミュニケーションを意識しなくてはなりません。

そのためには、実際に島に入って一緒に汗をかき、現地の方との関係を深めていくことが求められます。例えば、住民と一緒にお酒の席を共にしたり、住民が集まるコミュニティに頻繁に足を運んだりして、実際の行動で信頼を得る姿勢が重要になります。

川上氏:

桑江さんの言うように、「泥臭さ」はとても重要です。

まず島民にとって、コンサルタントはどうしても怪しく見える存在から始まります。そうした中では、データ分析に基づき課題を特定し立派な提案を用意するだけではなく、それを島の人々が心から納得できるようコミュニケーションを意識しなくてはなりません。

そのためには、実際に島に入って一緒に汗をかき、現地の方との関係を深めていくことが求められます。例えば、住民と一緒にお酒の席を共にしたり、住民が集まるコミュニティに頻繁に足を運んだりして、実際の行動で信頼を得る姿勢が重要になります。

―――皆さま、貴重なお話ありがとうございました!

―――皆さま、貴重なお話ありがとうございました!

1時間単位のスポットコンサルで、
地方企業の経営に直接関与できる

サービスの詳細はこちら

1時間単位のスポットコンサルで、
地方企業の経営に直接関与できる。

サービスの詳細はこちら

目次