新規事業における狙い目の探し方と成功のポイントを解説

新規事業における狙い目の探し方と成功させるポイントについて解説します。社会や市場の変化、自社の強みや保有する経営資源などによって狙い目となる市場は異なります。ポイントを押さえて自社に合った狙い目の市場を見つけ、新規事業を成功に導きましょう。

ビジネス環境の移り変わりが激しい現代社会において、市場のニーズの変化に対応するために多くの企業が新規事業に取り組んでいます。新規事業を成功に導くには、狙い目となる市場への参入が欠かせません。しかし、新規事業を始めようとお考えの企業の中には、どの市場に参入すべきか分からないというケースもあるのではないでしょうか。

本記事では、新規事業における狙い目の探し方と成功に導くためのポイントを解説します。狙い目の条件や探し方のポイントを押さえて、自社が優位性を持って参入できる市場を見つけましょう。

新規事業における狙い目の探し方

新規事業の狙い目となる市場は、さまざまな視点から探すことができます。ここでは、新規事業における狙い目の探し方について解説します。

既存事業に関連する分野から探す

自社の既存事業に関連する分野から探せば、自社で保有している顧客のニーズ・実態に関するデータやノウハウを活かしやすいため、新規事業の成功率を高められるでしょう。

既存事業とはまったく異なる新しい事業に着手すると、ノウハウや顧客に関するデータが何もない状態から始めなければなりません。既存事業から新規事業のヒントを見つけることができれば、既存顧客のデータをもとにニーズを把握しやすくなります。

既存事業から狙い目を探す際は、ターゲットとしていなかった顧客からの受注データを確認したり、既存事業についてこれまでとは違う視点で課題を分析したりすると、新しい市場を見つけられる可能性があるでしょう。

自社技術から探す

自社技術を棚卸しすることで、新規事業の狙い目が見つかる場合もあります。自社が保有する技術が複数ある場合、既存事業のコア技術や模倣困難性が高い技術などを抽出すると良いでしょう。

自社技術から新たな市場を見つけられれば、事業化の実現性が高く、優位性を確保しやすいというメリットがあります。

技術から狙い目を探す場合、市場と結びつけながらアプローチを検討することが重要です。市場が存在しないケースも考えられるため、技術に市場性や事業性があるかを見極めなければなりません。

また、技術からニーズを探すのが難しい場合は、その技術にはどのような機能があるかを考えるとニーズと結びつけやすくなります。

社会の変化点から探す

デジタル技術の発達、法改正、流行の変化など社会や市場が変化するタイミングは、大きなビジネスチャンスといえます。顧客のニーズが変化することによって、市場の競争軸が変わる可能性があるからです。

社会や市場の変化から狙い目を探すのであれば、常にアンテナを広く張り、社会のトレンドの動向や変化を素早くキャッチしなければなりません。現代社会ではトレンドが激しく変化するため、社会や市場の変化からどのようなニーズが生まれるかを的確に分析し、スピード感を持って事業に落とし込んでいくことが求められます。

SNSで情報収集をする

新規事業の狙い目の情報収集を行う方法として、SNSの活用も有効です。SNSはリアルタイムな情報が飛び交う場なので、顧客のニーズを素早く把握しやすいのが特徴といえるでしょう。

第三者によって整理・加工された二次情報ではなく、ユーザーの生の声が聞けることもSNSの強みです。異業種の情報やWEBでは得られない情報もつかみやすいので、効率的に情報収集が可能になります。 一方で、ノイジーマイノリティーの意見を拾いがちになる点には注意が必要です。

フレームワークを活用する

自社分析や外部環境の分析を効率的に行うには、フレームワークの活用がおすすめです。強みや弱みを理解して自社が目指すべき市場を分析できるので、新規事業の狙い目のヒントを得られるでしょう。

狙い目を探す際に活用できるフレームワークは、以下の通りです。

  • バリュープロポジション
  • 「自社が提供でき、競合他社が提供できない、顧客が望む提供価値」を顧客、自社、競合の3つの視点から分析するフレームワーク。

  • ポジショニングマップ
  • 「価格と機能性」、「デザイン性と軽さ」など、商品・サービスごとに任意の2つの購買決定要因 を縦軸と横軸に設定。ターゲットとなる市場において競合他社の製品サービスを位置づけることで、自社の製品・サービスのポジションを検討するフレームワーク。

  • 5Forces(ファイブフォース)
  • 競合他社の脅威、代替品の脅威、新規参入者の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力の5つの要素から、自社の収益性や競合優位性、業界構造を分析するフレームワーク。

新規事業の狙い目となる3つの条件

新規事業のアイデアが創出できたら、そのアイデアが狙い目となる条件に当てはまるかを確認することが大切です。新規事業における狙い目とは、収益性があって自社が成長を見込める事業であることが大前提です。では、自社にとって狙い目となる市場にはどのような条件があるのでしょうか。ここでは、新規事業の狙い目となる3つの条件を解説します。

1.競合が少ない

新規事業の狙い目として、競合が少ないブルーオーシャンに参入することが望ましいです。ブルーオーシャンといっても、現代において未開拓で競合がまったく存在しない市場を見つけることは容易ではありません。そのため、競合がいないとまではいかないにしても、価格戦略を独自に展開できる程度の競合数の市場をブルーオーシャンとみなして、参入していくと良いでしょう。

競合が多いレッドオーシャンへの参入は、他社が一定の顧客を獲得しているので新規顧客を獲得することが難しくなり、競合他社との差異化もはかりにくくなります。そのため、新規参入した企業が成功できる確率は低くなるでしょう。

ブルーオーシャンであれば他社と差別化をはかりやすく、柔軟なアイデアで付加価値のある製品・サービスが提供できるようになります。そのため、新規顧客を獲得しやすく、収益も見込めるでしょう。

2.顧客のニーズが高い

どんなに競合が少ない市場であっても、顧客のニーズが低ければ十分な収益は見込めません。新規事業で成功するには、顧客のニーズが高い市場を狙うことが重要です。

顧客のニーズに合った製品・サービスを提供できれば、顧客が定着しやすく、十分な収益が見込めるでしょう。そのためには、顧客のニーズがどこにあるのかを入念に調査する必要があります。

いくら顧客のニーズが高い市場であっても、ニーズを満たさない製品・サービスを提供してしまうと失敗のリスクが高まります。インタビューやアンケートなど、あらゆる方法でデータ収集・分析を行い、市場や顧客が抱える課題や要望を把握しましょう。

他社が参入しづらく自社の強みを活かせる

自社の強みを活かせて他社が参入しづらい市場であれば、優位性を保ちやすく、新規事業の成功率を高めることができます。他社が参入しづらい要素として、専門的な技術を要し特殊な製品を取り扱う事業、ブランド力、初期投資額の大きさ、法的な制限などが挙げられます。

他社が真似できない強みを持っていれば、自社にとって強力な武器となります。「○○といえばこの会社」とすぐにイメージしてもらえるようなブランディングをすることで、ターゲットとなる市場で唯一無二のポジションを確立できるでしょう。

自社の強みを活かせる事業を始めるためには、自社の強みを把握しなければなりません。社内で議論して強みを洗い出したり、フレームワークを活用して自社分析を行ったりして、自社が提供できる価値は何なのかを理解することが大切です。

狙い目の分野で新規事業を成功させるためのポイント

ターゲットとする市場を見つけたら、新規事業の立ち上げに向けて準備を進めていきます。ここでは、狙い目の分野で新規事業を成功させるためのポイントを解説します。

参入する分野を絞る

参入する領域の範囲やターゲットを細かく絞ることで、市場や顧客のニーズが掴みやすくなり、ニーズにマッチした製品・サービスの提供が可能になるでしょう。

市場や顧客のターゲットが広すぎると、ニーズを的確に把握できなくなり、製品・サービスの価値が曖昧になるおそれがあります。市場やターゲットを絞って製品・サービスの質を向上させられれば、顧客満足やコア顧客の獲得につながるのです。

ビジネスモデルを明確にする

「誰に、何を、どのように売るか」というビジネスモデルを明確にすることが重要です。どんなに優れた製品・サービスを開発しても、ビジネスモデルが曖昧なままでは期待する成果を得られない可能性があります。

製品・サービスの内容やターゲットとなる顧客の年齢、性別、ライフスタイルなどによって、どの販売・展開方法が適しているかは異なるため、入念に検討したうえで販売・展開方法を決定しましょう。

リーンスタートアップを活用する

新規事業を効率的に推進するには、コストを最小限に抑えて事業をスタートさせるリーンスタットアップを活用するのがおすすめです。

小規模でスタートして実際の顧客の反応を見ながら軌道修正を行えるので、失敗のリスクを抑えて事業を推進できるというメリットがあります。狙い目とした新規事業で成功できるかどうかを早期に見定めるのに、有効な手法といえるでしょう。

まとめ

新規事業の成功率を高めるには、自社にとって狙い目となる市場への参入が必要不可欠です。狙い目となる市場を探すには、自社分析や日々の市場調査が重要といえるでしょう。

自社が保有する経営資源や過去の実績、経営方針などによっても新規事業の狙い目は異なります。今回ご紹介したポイントを参考に、自社に合った狙い目の発見にお役立てください。

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