デジタルマーケティングにおける課題|今後の展望についても解説行動を網羅し、分析するのがデジタルマーケティングです
- 公開日:
- 2023/12/1
- 更新日:
- 2023/12/1
デジタルマーケティングは効果的な手法ながら、専門知識の必要性や人材不足などさまざまな課題を抱えています。また、SNSの普及によって複雑化が進み、新たな課題も増えてきました。そこで今回は、デジタルマーケティングにおける課題について解説します。
デジタルマーケティングは急速な進化を遂げ、新たな可能性を広げながらも、同時にさまざまな課題を抱えています。デジタルマーケティングとは、インターネットやAIなどのデジタルを活用したマーケティング手法です。マーケティング活動の手法をデジタル化することで、効率的で効果的なマーケティングを行えます。
しかし、デジタルマーケティングを行うには専門知識が必要かつ、デジタルマーケティング自体が複雑化しており、どこから着手すればいいのかわからないといった問題があります。さらに、デジタルマーケティングにおける知識やスキルを持ちあわせている人材をなかなかみつけることが難しい状況です。
そこで今回は、デジタルマーケティングにおける課題について紹介をしていきます。また、デジタルマーケティングにおける課題の解決方法や今後の展望・課題についても解説します。
日本のデジタルマーケティングの現状
日本のデジタルマーケティングは、従来のマーケティング手法に比べて急激に成長しています。
特にスマートフォンの普及によりモバイルコンテンツが重要視されるようになりました。LINE株式会社の「2023年上期のインターネット利用環境に関する調査」によると、スマートフォンでのインターネット利用者は全体の96%となり、そのうちスマートフォンのみの利用者は59%と半数を上回っていることがわかりました。デジタルマーケティングにおいても、モバイル対応のWebサイトやアプリの重要度が高まっています。
また、Webによる検索だけではなく、FacebookやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNS、YouTubeやTikTokなどの動画共有サービスなど新しいチャネルが普及したため、デジタルマーケティング戦略は複雑化してきている状況です。
さらに、AmazonによるECの拡大やキャッシュレス決済など、DX(デジタルトランスフォーメーション)も活発になってきています。
そのような状況のなか、日本ではデジタルマーケティング人材・リソース・予算の不足により、遅れをとっている状況です。また、デジタル化に対してマイナスイメージを持つ人が多く、なかなか進められない企業もあります。
デジタルマーケティングで起きやすい7つの課題
デジタルマーケティングは多くのメリットがある一方で、さまざまな問題も伴います。デジタルマーケティングで起きやすい課題は以下です。
- デジタルマーケティングに対する知識不足
- 何から始めればよいのか判断できない
- 社内で理解が得られにくい
- 他部署との連携不足が起こることも
- 人材確保が難しい
- 最適な手法が判断できない
デジタルマーケティングに対する知識不足
デジタルマーケティングに取り組むためには、マーケティング以外にもさまざまな知識が必要となります。
しかし、従来のマーケティングからデジタルマーケティングにシフトしたのはここ数年のことです。そのため、デジタルマーケティングに対する知識が十分にある人材はまだ少ないとされています。
デジタルマーケティングを進めるうえで必要なスキルは下記となります。
- デジタルに対する理解
- データ分析
- マーケティング知識
- デジタルツールの導入と活用
これらの知識不足を補うために、社内での研修プログラムの導入や外部講師を招いて講習会を実施する必要があります。
何から始めればよいのか判断できない
デジタルマーケティングには、Web広告・SNSマーケティング・SEO対策など多くの手法があります。そのため、「何から始めればいいのか判断できない」という課題に直面します。
何から始めればいいのかわからない場合には、以下のポイントを押さえるのがおすすめです。
- 目的や目標を明確にする
- 目的に合ったマーケティング手法を選択する
- 自社の状況・課題を整理する
- デジタルマーケティングに必要なコンテンツを揃える
ポイントを押さえることで、何から始めればいいのか判断しやすくなります。自社で判断ができなければコンサルなどに相談して進めるのもおすすめです。
社内で理解が得られにくい
社内の上層部がデジタルマーケティングに対する必要性をあまり感じていない場合は、導入されにくい傾向にあります。また、デジタルマーケティング施策を実行する社員が、なぜデジタルマーケティングに取り組むのかを理解していない場合もあります。
特に今までデジタルマーケティングに取り組んでこなかった企業の場合は、デジタルマーケティングの実施と従来の業務を兼務することが多いです。その場合は、従来の業務よりも後回しにされてしまうこともあります。
デジタル化することにマイナスなイメージを持っている人もいるので、デジタルマーケティングを実施することによるメリットを具体的な数値を用いて説明することが大切です。現場からの反対意見が多い場合には、小規模でも少しずつ始められるように説明をしていきましょう。
また、社内で理解を得られにくい場合には、下記の働きかけを行うのがおすすめです。
- 成果が数字で見えるなど楽しさを伝える
- 専門用語を使わずに数値化したデータを用いて必要性を説明する
- できるところから始めてみることを伝える
- 社内で難しい場合には外注も検討する
わかりやすい説明をしたり数値で明確に効果を示したりすることで、デジタルマーケティングの必要性を周りに理解してもらえるでしょう。
他部署との連携不足が起こることも
デジタルマーケティングで成功するためには、さまざまな部署で共通認識を持ち、連携して施策に取り込む必要があります。しかし、部署やチームごとに就業スタイルや業務フローが異なるため、連携がうまくいかない場合もあります。
デジタルマーケティングを行ううえでは、下記を意識しながら他部署や他チームと連携していくことが大切です。
- デジタルマーケティングの課題やゴールのすり合わせを行う
- 他部署・他チームと積極的にコミュニケーションを取る
- 他部署・他チームを理解し合う
- 業務を依頼する際には双方にメリットがあることを伝える
これらのポイントを意識すると円滑にデジタルマーケティング施策を進められます。特に双方にメリットがあることを伝えることは重要です。
例えば、マーケティングを行う部署から営業部に顧客のヒアリングを依頼する場合には、ただお願いするだけではなく、「顧客に寄り添ったコンテンツを作ることで営業活動がしやすくなる」などのメリットを伝えるのがおすすめです。
状況に応じて具体的なメリットが伝えられれば社内の協力を得られやすくなります。
人材確保が難しい
デジタルマーケティングの知識やスキルを持った人材の確保が難しいことも課題のひとつです。
2023年に株式会社ニュートラルワークスが行った「デジタルマーケティング人材の採用実態を調査」によると、53.6%がデジタルマーケティング人材の採用に苦労していると回答しており、約半数以上が人材確保の難しさを感じていることがわかりました。
また、人材採用の苦労の要因は「高度なスキルを持った人材の不足」がトップです。このように、デジタルマーケティングに精通した人材の確保は難しく、多くの企業が直面する課題となっています。
さらに、マーケティング戦略の立案や施策の実行、オペレーションまで行える人材はあまりいないのが現状です。社内の人材育成教育に力を入れたとしてもスキルを身につけた後に転職をしてしまう場合があります。
新しいデジタルマーケティングの人材の採用、社員教育が難しい場合には、人材派遣サービスやアウトソーシングサービス、外注などを視野にいれてみましょう。
最新情報を入手しにくい
最新情報を入手しにくいのもデジタルマーケティングで起きやすい課題です。デジタル業界では新しいテクノロジーやツールが次々と生まれています。
市場の変化に合わせて次の戦略を考える必要があるので、最新情報を常にアップデートしていく必要があります。しかし、そもそも知識不足だったり、他業務を兼務していて情報収集を行う時間がなかったりすると、最新情報が追えない可能性が高くなります。
また、インターネット上には膨大な情報が存在するため、必要な情報とノイズを区別するのが難しくなっています。じっくり情報を精査しなければ信頼性の低い情報に惑わされてしまう恐れがあるので注意が必要です。
さらに、最新情報を見逃すと機会損失に繋がる可能性もあります。デジタルマーケティングの最新情報を手に入れるために、ニュースやSNSをチェックすることを習慣にするのがおすすめです。また、積極的にセミナーや勉強会にも参加するなど、さまざまな方法で情報を入手しましょう。
最適な手法が判断できない
数多くのデジタルマーケティング手法があるなかで、どの手法が自社にとって最適なのかわからない場合があります。また、新しい手法が次々出てきているため、使っている手法が古くなってしまっていることに気づかないこともあります。
自社にデジタルマーケティングに精通している社員がいない場合は、デジタルマーケティングに強い外部パートナーに依頼をしてみるのもいいでしょう。定期的に相談を行えば、最適なタイミングで最適な施策を実行することができます。
デジタルマーケティングにおける課題の解決方法
デジタルマーケティングにおける起きやすい課題については理解できたと思います。ここでは、デジタルマーケティングにおける課題の解決方法について解説をしていきます。この課題を解決するためには下記の方法があります。
- 客観的なデータをもとにデジタル化するか判断する
- 業務を効率化する
- 適切なKGI・KPIの設定
客観的なデータをもとにデジタル化するか判断する
デジタルマーケティングにおいて効果的な戦略を実施するためには、客観的なデータを活用することが重要です。また、データをもとにどの事業をデジタル化するべきなのかということも判断できます。
デジタルマーケティングの課題を客観的なデータをもとに分析し、適切な判断を行うためのステップは以下となります。
- データの収集と分析
- 課題の優先順位付け
- 目標の設定
- デジタル化の検討
このステップを踏んでデジタル化を検討した後、どの事業をデジタル化するかを決めます。例えば、キーワードの検索回数やWebサイトの訪問者数などのデータを客観的に見ながら、どの事業に着手するのか決めていくのがベターです。
業務の効率化をする
デジタルマーケティングの業務効率を上げることも、デジタルマーケティングの課題解決に繋がります。例えば、下記が業務効率化するための項目となります。
- タスク1つあたりにかかる時間を短縮する
- 自動化ツールの導入
- 顧客対応の自動化
- テンプレートの活用
- 難しいタスクに関しては外注をする
タスク1つあたりにかかる時間を短くすることで、デジタルマーケティング業務をしっかり行うことができ、業務効率に繋がります。また、自動化ツールの導入やテンプレートの活用などを行えば繰り返し作業や時間や労力を節約可能です。
さらに、すべての業務を社内でやるのではなく、難しいタスクについては外注することも業務の効率化になります。自分たちでやり遂げることが難しい場合には、外部に業務を発注して効率よく進められるようにしましょう。
適切なKGI・KPIの設定
デジタルマーケティングにおける課題を解決するためには、適切なKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Perreformance Indicator)の設定が大切です。KGIは「重要目標達成指標」と訳され、施策の最終的な目標のことです。売上高や成約数、利益率などが該当します。
一方、KPIは「重要業績評価指標」と訳され、KGIを達成するための中間指標のことを示します。KGI・KPI両方の数値を設定することで、施策の優先順位をつけられたり、タスクを細かく設定できたりするメリットがあります。
KGI・KPIは、下記のプロセスを踏んで設定していきます。
- KGIを設定する
- KGIに直結する要素を細分化する
- KPIを設定する
- KPIツリーを作成する
また、最終目標であるKGIを設定する際には、目標設定に役立つフレームワークである「SMARTの法則 」を使えば、適切なKGIを設定できます。「Specific(具体的)」「Measurable(計測可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限を持つ)」を意味しており、この法則に基づき目標を設定することで、明確で達成可能な目標を持つことができます。
KPIを設定するだけではなく、最後に目標までのプロセスや最終的に設定したKGIをまとめたKPIツリーを作成することで、全体を把握しやすくなります。実際の数値と照らし合わせることで施策の進捗も明確になるのもポイントです。
2023年以降のデジタルマーケティングの展望や課題
デジタルマーケティングの今後の課題として、さまざまな業界から参入する企業が増えることが挙げられます。そのため、自社のみでデジタルマーケティングを行うのではなく、広告系の企業やアプリ開発会社などと協力しながら取り組んでいくことが必要となります。
また、デジタルマーケティングにおける人材不足の観点からAIの活用も活発になることが予想されます。AIを使えば、さまざまな角度や膨大なデータから最適なマーケティング戦略を導くことが可能になるかもしれません。しかし、AIは未熟な部分もあるため新たな課題も出てくるでしょう。
さらに、SNSやWeb広告、メルマガなどの流入元の多様化も今後の課題となる可能性があります。そのため、最新の情報を入手したり、デジタルマーケティングに対応するプロジェクトを発足したりといった対策を行うことが大切です。
まとめ
デジタルマーケティングの課題はさまざまなものがあります。特にデジタルマーケティングに精通している人材の不足については深刻です。デジタルマーケティングは比較的新しいマーケティングで、さまざまな知識が必要になるため難しいと考えがちですが、セミナーや社内研修など適切な教育を行えばマーケティング戦略を立案できるようになります。
もちろん、社内で対応することが難しい場合には、人材派遣サービスやアウトソーシングサービス、外注などを視野にいれるのもおすすめです。デジタルマーケティングの専門家に任せることで、自分たちでは考えられなかった効果的な戦略を立てられる可能性があります。
また、近い未来では最近話題になっているAIをマーケティング戦略の立案に役立てることができるかもしれません。
デジタルマーケティングにおける課題と向き合い、しっかりとマーケティング活動ができるようにさまざまな手段を検討してみてください。