マーケティングにおけるKPIとは?プロセスや成功させるポイントも解説
- 公開日:
- 2023/12/15
- 更新日:
- 2023/12/15
最終目標を設定するだけだと目標達成が難しい場合があります。そのため、マーケティングを行う上でKPIを設定することが重要です。この記事では、マーケティング戦略を最適化し、ビジネスの成果を向上につながるKPIの活用方法について解説していきます。
マーケティングにおけるKPIの設定は、マーケティングの成功の尺度を明確にし、戦略的な方向性を定めるために必要となります。そのため、適切なKPIを設定することがマーケティング成功への近道となります。
本記事では、マーケティングにおけるKPIとは何かという基本から設定のプロセス、成功させるためのポイントまで解説していきます。本記事を参考に、KPIを活用して戦略的に成果につなげる方法について学んでいきましょう。
KPIとは?
KPIはKey Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)の略で、重要業績評価指標と訳されます。組織やプロジェクトなどの最終目標を達成するための目標達成度を定点観察する重要な指標です。
オンライン広告・Webサイト運営・SNS活動などのマーケティングにおいてもKPIの設定は必要となります。具体的には、セッション数・ページビュー数、ユニークユーザー数などがKPIとして挙げられます。ビジネスにおいてはKPIをチーム内で共有し、最終目標に対する達成率をしっかり把握・共有することが重要です。
KPIとは?
KPIに対しKGIという指標もあり、こちらは最終目標を数値で表したものとなります。KGIとは Key Goal Indicator(キー ゴール インジケーター)の略で、重要目標達成指標とも呼ばれています。最終目標を数値で表したものです。具体的な数値を最終目標として持ち、長期的な目標の達成度を評価するために使われます。
マーケティングにおいてKGIは、売上目標の達成率・新規顧客獲得目標の達成率・ブランド認知度の向上度・市場シェア拡大目標の達成度などが該当します。「いつまでにどんな成果を出したいのか」を明確にすることにより、達成までの道筋を明確にするためにKGIの設定はマーケティングにおいて重要です。
KPIを設定するのはなぜか?
ビジネスの成果を評価し、効果的な戦略の構築・最適化を図るためにはKPIの設定が大切です。ここでは、KPIを設定する具体的な理由について述べていきます。
KGIへの道筋をわかりやすくするため
マーケティングを行う際は、目標をしっかりと立ててから運営していくことが大切です。しかし、漠然とKGIを設定する だけでは、どのようにすれば目標を達成できるのかわかりません。そのため、KPIを設定してKGIへ向かうための道筋をわかりやすくする必要があります。
マーケティングやビジネスだけではなく、普段のわたしたちの生活のなかでも目標を立てることがあります。そんなときに「いつまでに何を達成すれば最終目標にたどり着くのか」と具体的に道筋を設定しておくことで目標を実現する可能性が高くなることでしょう。
マーケティングやビジネスでも同様に具体的な道筋を立てることで、企業としてどう動けば良いのか明確になり最終目標であるKGIを達成できる可能性が上がる傾向にあります。
施策の進捗状況を明確にするため
マーケティングの施策を進める場合、数ヶ月〜数年と施策が終わるまで長い期間を有する場合があります。そんななか、最終目標であるKGIだけを設定しているだけでは今の状況が良いのか悪いのか判断できません。
そこで中間目標としてKPIを設定することにより、最終目標までの進捗状況が明確になります。また、KPIと実際の状況に乖離が生まれる場合には、現在設定しているKPIが適切でないと判断することも可能です。
KPIを順調に達成できていない状況の場合には、KPI設定の見直しや業務の見直しを行う必要があります。進捗状況を把握し、早い段階で課題をみつけることによって最終目標に向けて改善を繰り返すPDCAサイクルを回しながら進められます。
社内で意識を共有するため
組織で仕事をしている場合、目標や道筋がバラバラだと「今、何をするべきか」が不明確になり、社内・部門内で不和が生まれる場合があります。しかし、KPIという基準があれば、それぞれ異なる業務を担当している場合も同じKPIを目指しているという方向性の共有ができます。
また、人事評価の明確な基準になるため、社員一人ひとりのモチベーションを上げることも可能です。
KPIを設定するプロセス
ここまでKPIの必要性について述べてきました。次に、実際にKPIを運用するプロセスについて解説していきます。
KGIを設定する
始めに最終目標となるKGIを設定します。以下の5つの要素を意識すれば適切かつチームで共有しやすいKGIを設定できます。
- Specific(明確性)
KGIは具体的で明確であることが重要です。KGIは社内で共有する指標なので、誰が見てもわかるものにする必要があります。まず、KGIの定義を明確に定めるようにしましょう。 - Measurable(測定可能)
数値で測ることができると目標への進捗度合いがしっかり確認できます。課題の早期発見や遅れにも気づきやすく、PDCAサイクルもスムーズに回しやすくなります。
逆に数値化できないKGIを設定すると達成度合いがわかりにくく、正確に現状を把握することができないため注意が必要です。 - Achievable(達成可能)
KGIを設定するときには達成可能であることも重要です。達成が難しいKGIを設定すると社内でモチベーションが下がってしまう可能性があります。
そのため、達成できる可能性の高いKGIを設定し、社員にも納得してもらうことが重要です。 - Related(関連性)
KGIはそもそも会社目標を達成するために設定するものです。そのため、KGPIは自分が所属している部署の目標や会社の目標と関連していることが重要となります。 - Time-bounded(適時性)
KGIを達成するためには期限を設定する必要があります。具体的な期限がないと後回しになってしまう場合があるためです。いつまでに何をすべきかなど具体的に設定する必要があります
この5つの要素は英字の頭文字をとってSMARTの法則と呼ばれています。40年以上前に提唱された法則で、具体的な目標を立てられるので現在でもさまざまな場面で使われています。
たとえば、SMARTの法則を使って設立から1年半のヨガスタジオの会員を増やすための施策を行う場合は「ヨガスタジオの会員を半年後に300人から450人に増やす」というKGIが設定できます。目標数値と期限が明確かつ、会員数の伸びから現実的な目標を考えることが可能です。また、KGIを設定する際には、社員やチームメンバーに共有することも重要です。
KGIに直結する要素を細分化
KGIを設定したら、KGIに繋がる要素を細分化します。KGIを細分化するときには、KSF(Key Success Factor)を使用します。KSFは、重要成功要因と訳され、目的を達成するために何が必要かを指すものです。
先程のヨガスタジオの会員数を増やすことをKGIとした場合のKSFは、新規ユーザーの獲得のためにWebサイトへの流入の増加やSNSの登録者数の増加などがあります。
また、既存ユーザーに解約をされてしまうと会員数の増加にはならないので、解約数を減らすために通いやすいプランの設定や魅力的なレッスン内容を増やすなどの要素が必要となります。このようにKGIを達成するために、どのような要素が必要か細分化していく必要があります。
KPIを設定する
KGIの達成に必要なKSFを細分化できたら、KPIを設定していきます。たとえば、「ヨガスタジオの会員を半年後に300人から450人に増やす」というKGIに対して、新規ユーザー獲得と解約数の減少をKSFとします。
その場合は、新規ユーザーを175人増やし、解約数を75人におさえるというKPIを設定することが可能です。細分化した要素から具体的な数値に落とし込むことで、施策の進捗や改善点などがみつかりやすくなります。KPI設定でもKGIと同様、SMARTを意識して設定をすることが大切です。
KPIツリーを作成する
最後にKPIツリーを作成すると全体をより把握しやすくなります。KPIツリーとは、目標までのプロセスや最終的に設定したKGIを1枚にまとめたものです。
KPIツリーを作成することによりKPI同士の関係性が把握しやすくなるほか、実際の数値と照らし合わせることで施策の進捗が明確になります。
マーケティング施策におけるKGI・KPIを設定するポイント
効果的なマーケティング施策を展開するためには、適切なKGIとKPIを設定することが不可欠です。ここでは設定する際のポイントを解説します。
1.ビジネス目標と連動させる
KGIとKPIは、ビジネスの主要な目標と直接的な関連性を持つように設定されるべきです。マーケティングの成果がビジネスの成功にどのように貢献するかを明確に定義しましょう
2.実現可能な目標を設定する
KGIは、定量的かつ具体的な成果を示すものであり、KPIはそれを達成するための指標です。そのため、理想的な目標ではなく、目標達成可能な目標を設定しましょう。
3.重要な領域にフォーカスする
KPIを選ぶ際には、マーケティング施策の重要な側面にフォーカスしましょう。例えば、売上向上が主要な焦点であれば、関連するKPIを設定します。
4.SMARTの法則を考慮する
KGIとKPIはSMARTの法則に基づいて設定しましょう。これにより目標が具体的で達成可能なものとなります。
5.適切なデータと計測手段を確保する
KPIを適切に測定するためには、必要なデータ収集手段やツールを確保し、適切な計測方法を導入する必要があります。
6.定期的な評価と改善
設定したKPIを定期的に評価し、マーケティング戦略や施策を改善するためのフィードバックループを確立しましょう。必要に応じて目標の見直しや調整を行います。
7.チームの関与と共有
KGIとKPIはマーケティングチーム全体で理解され、共有されるべきです。関係者全員が同じ目標に向かって協力できるようにコミュニケーションを図りましょう。
マーケティング施策の成功を追求するためには、明確なKGIとKPIを設定し、それらを効果的に管理・評価していくことが重要です。
マーケティング施策における主なKPI
BtoBマーケティング施策の成功のためには、以下の項目が主要なKPIとして使用されることがあります。これらのKPIは、ビジネスの戦略を評価し、改善するのに役立ちます。
Webサイト
Webサイトで使われるKPIには下記などがあります。
- PV数(ページビュー) 特定のWebページが読み込まれ表示された回数
- UU数(ユニークユーザー) 一定期間のWebサイトの訪問者数
- 自然流入数 オーガニック検索によりWebサイトに訪問した人数
- CVR(コンバージョン率) 流入した人のうち、購入にいたった件数やお問い合わせなどのアクションを行った割合
- 資料ダウンロード数 ホワイトペーパーをダウンロードしたリード数
メールマーケティング
メールマーケティングで使われるKPIには下記などがあります。
- 開封率 メルマガの開封率
- URLクリック率 一定期間のWebサイトの訪問者数
- 不達率 配信リストのうち送信相手のメールボックスに正常にメールが届かなかった割合
- 反応率 開封されたメールのうち、コンテンツ内のリンクがクリックされた割合
Web広告
Web広告で使われるKPIには下記などがあります。
- クリック率 Web広告をクリックしてランディングページを訪れたユーザーの割合
- CPA コンバージョン1件あたりにかかった広告費
ウェビナー
ウェビナーで使われるKPIには下記などがあります。
- 申込者 ウェビナーへの参加申込者数
- 来場率 申込数のうち実際に来場した人の割合
インサイドセールス
インサイドセールスで使われるKPIには下記などがあります。
- 商談化率 インサイドセールスから実際に商談に進んだ数
マーケティング部門全体
マーケティング部門全体で使われるKPIには下記などがあります。
- ホットリード率 営業にホットリードとして渡した数
- 商談化率 ホットリードから商談化した割合
- 受注率 ホットリードから受注した割合
マーケティングにおけるKPI設定や運用の注意点
マーケティングのKPI設定や運用にはいくつか重要な注意点があります。以下は、マーケティングにおけるKPI設定と運用に関する注意点です。
- スピード感を持ってKPI測定とPDCAを行う
- 部門内や関係する部門の合意が必要
- KPIにあてはまらない価値も考える
- 場合によってはKPIを見直す必要も
スピード感を持ってKPI計測とPDCAを行う
スピード感を持ってKPI計測とPDCAサイクルを行うことは、ビジネスで成功するために重要です。最近では企業活動のスピードが加速しています。そのため、KPIを計測し、いち早く問題を見つけ出し、軌道修正する必要があります。
部門内や関係する部門の合意が必要
マーケティングを進めていく際には、さまざまな部門やチームが関係します。そのため、ひとつの部門だけではなく、関係のある部門が納得して取り組めるKPIを設定する必要があります。同じ目標を達成するために、さまざまな部門の合意を得ることも大切です。
KPIにあてはまらない価値も考える
KPIの数値にあてはまらない価値についても考える必要があります。BtoBでは短期ではなく時間をかけて受注に至る場合もあります。そのため、ユーザーの関心度の高さなどを見極めることも大切です。
場合によってはKPIを見直す必要も
環境や市場の変化によりKPIが有効でなくなる場合もあります。一度掲げたKPIに固執するのではなく、KPIを見直すことも重要です。
まとめ
KPIを設定することでKGIまでの道筋が明確になります。施策の進捗状況も把握しやすく、社内で共有しやすくなることもポイントです。しかし、適切なKPIを設定しないと目標を達成しづらくなる恐れがあります。
そのため、SMARTの法則を使用して、明確で数値化されたKPIを設定することが重要です。また、KPIを整理するためにもKPIツリーを活用するのもおすすめです。